この漫画を読んだ!2022下半期

 本来このブログは2022年中に書ききる予定だったのですが、なんやかんやあって1月3日から書き始めています。なんでやろなぁ……
 あまり前置きに書くこともないので本題に移ります。漫画の購入量は前回同様少し控えめになっていると思います。たぶん。

・完結済み

 上下巻に分かれて全2巻。ジャンルはラブコメでいいと思います。
 主人公の世良が付き合っていた元カノのユリは芸能人になってしまった。ぼんやりと社会人生活を一人で過ごす世良の前にユリの妹であるつくしが現れる。つくしはユリと世良の復縁計画について世良に語るが、つくし自身も世良への恋心を無自覚に抱いているのだった……みたいなお話。
 絵もすごくかわいいし、お話としても軽快なギャグが挟まって面白いし、登場人物が(男女問わず)みんなかわいいです。最終話のつくしのセリフもすごく良いですね。三角関係のラブコメですが、ふんわりと終わるので比較的安心して読めると思います。いい漫画でした。


 全3巻。ライトノベルのコミカライズで、原作は漫画版で描かれないストーリーがまだ続いているそうです。
 ライトノベル版の公式ホームページがちゃんとしてるのでそこを見るとわかりやすいですね。陽の光を浴びると灰になってしまうドラキュラの主人公が、コンビニの夜勤バイトとして日本で生活している。そんな中でイギリスから来た男性恐怖症のポンコツエクソシストに絡まれ、物語が進行していくという感じです。
 原作は『はたらく魔王さま!』で知られる和ヶ原聡司さん。この作品も人外の主人公が現代日本でバイトする話なので共通する要素は多いような気もします。ところではたらく魔王さまアニメ2期ってどうだったんですか 独占配信とかいう文化本当に悪いよ……
 やっぱり原作者がプロなのでシナリオがちゃんと面白いし、キャラクターも魅力的で設定も深く練られています。ギャグパートでサラッと言った内容が後々伏線として効いてくるという構図も上手いです。総じて面白い漫画でした。


 全1巻らしいです。この2022年に1巻完結の漫画がきららから出てくると思っていませんでした。本当にもっと続くと思っていたし、続いてほしかった……本当に本当に面白い漫画なので……
 いわゆる最近流行りの「Vtuber中の人もの」というジャンルの作品ですね。(本当に最近流行ってるか?) 主人公である女子高生のマリナは、隣に住む憧れの先輩であるミユキさんが実は酒クズ系Vtuber『神酒シズク』の中の人であるということを知ってしまう。というお話です。
 登場人物の全員がヤバい人なのでキャラが勝手に物語をどんどんヤバい方に転がしてしまうような、ツッコミ不在の恐怖の漫画です。本当にめちゃくちゃ面白かった。僕はパチンコもしたことないし公営ギャンブルも全く触れたことがないんですけど、そういう知らない文化に触れられるというのも良かったですね。触れたいとはあんまり思わないんだけど……ギャンブル回めちゃくちゃ好きです。全部の回が好きなんですけどね。
 ちなみに主要登場人物の苗字が逆瀬川、苦楽園、花屋敷って兵庫県内の阪急の駅名から取ってるよね……近所だ……



・連載中

 既刊1巻。タイトルの河畔はセーヌ川、つまりパリの漫画です。
 タイトルにもあるセリーヌという女の子が主人公。「先生」の言葉を受けて田舎からパリにやってきたセリーヌは、持ち前の無表情さと愛想のなさで働いていたカフェをクビになってしまう。その様子を見ていた老紳士に声を掛けられ、彼の本づくりを手伝うためにパリの各所で様々な仕事の手伝いをすることになる、というお話。
 舞台は19世紀となっており、ちょうどパリ大改造が完了した時期。フランス革命が終わり、第一次世界大戦が起こるまでの間の平和で豊かな時期……だと思います。(世界史にあんまり明るくないので違うかも。)少なくとも劇中では“市民階級の人々(ブルジョワジー)が余暇という概念を獲得した時代”、“鉄道に乗って郊外へ小舟遊びに行き ダンスホールやキャバレーで踊りカフェで恋をする”というように表現されています。
 かなり丁寧に描かれている当時のパリの様子や人々の暮らしの描写ももちろん魅力ですが、それぞれに悩みや事情を抱えて働く人々の物語も素敵です。主人公も無表情と言われていますが実際にはコミカルなデフォルメ表情で描かれていることも多く、愛着の持てる可愛らしい人物です。総じて素敵な漫画で良かったです。これからも楽しみですね。
 ちなみにこの漫画は『次に来るマンガ大賞2022』にノミネートされていたことから知りました。こういう賞のことあんまり信用していなかったんですが、食わず嫌いするのも良くないですね。広くアンテナを拡げて色々な漫画を読んでいきたいです。


 既刊1巻。タイトルの「機械箒」は「パイプ」と読みます。劇中では「煙管箒」の漢字も充てられていますが。
 先と同じく19世紀、今度はロンドンが舞台となっています。ただこちらはややファンタジー。熱と反重力を生み出す「魔浮炭/灝炭(エーテルコール)」による機械産業が発達した架空のロンドンが舞台です。とはいえ、階級社会が存在したり産業革命が起こっていたりビッグベンが建設中だったりマンチェスターリヴァプールなどの北部の工業地帯がパイプレースの本場だったりと、実際の当時のロンドンの空気のようなものは感じられる描写になっています。何より主人公が労働者(ワーカー)階級で、その厳しい階級社会の現状をメインとして描いているのが印象的ですね。貴族様のおもちゃになっている機械箒のレースに嫌気がさしている主人公と、そのレースの世界で身を削り合うレーサーの少女たちの対立が印象的です。レースの内容も面白く、今後に期待できる作品でした。 


 既刊1巻。宮崎県を舞台にしたご当地もの……かな?
 出版社で雑誌の編集部で仕事をしている主人公が、大好きなグルメ担当から興味のないアウトドア担当に移されるところからお話が始まります。本当に初心者の状態から少しずつアウトドアの面白さみたいなものを見つけていく、みたいなストーリー。最初はグランピングから始まって、デイキャンプをしたり家の庭で道具を試したり……
 あんまりアウトドアものっていう感じがしなくて、キャンプをしている描写も少ないです。むしろ料理ものとしての側面が強くて、アウトドア道具縛りでお店で出せるレベルの料理をしようみたいな感じなんじゃないかなと思います。登場人物がみんな基本的に凄腕料理人なので。普通の人はキャンプ場に来てメスティンでケーキ焼こうと思わない……いや分からん、焼くのかな……自分が基本的に最小限荷物縛りのバイクキャンプしてるせいなのかな……
 最初にご当地ものと書いたけれど、確かに宮崎県を舞台にしているのは分かるけれど観光情報が載ってたりするわけでもなく、ストーリーとしても単調と言えば単調なのでどうなのかな……という感じ。まぁまだ始まったばっかりなので、続きに期待ですね。


 既刊1巻。こっちは間違いなくご当地ものです。
 天河市というどう見ても宮城県石巻市をモデルにした街が舞台。(いしのまき元気市場に聖地巡礼しに行きました)インドア気質の主人公が、高校進学と同時に姉の元に引っ越した、と思いきやなんやかんやで笹かまぼこの天使という設定のご当地キャラ・ササエルとして働かされてしまうことになる、というお話。笹かまぼこは宮城県の名物のひとつです。
 石巻市のいろいろな施設が背景として描かれるのも面白いし(イオンモールに行けばいいよ、というネタは往年の映画・下妻物語を彷彿とさせますね)、キャラも立ってて普通に面白いです。ヤバい変態がいっぱい出てきます。やっぱりご当地ものであろうとなかろうとお話が面白いのが一番ですね。


 既刊1巻。もうすぐ2巻が出ます。
 ダークメルヘンというあまり耳馴染みのないジャンルの漫画。不思議の国のアリスの不気味な部分を煮詰めたような世界観で、普通に死ねる不気味な森みたいな世界に迷い込んでしまう主人公がなんやかんやするお話です。なんやかんやというのは、えー……
 その不思議な世界には昼の王、夜の王、そして虹の王という3人の王様がいました。虹の王は死んでしまい、その欠片が世界中にバラまかれました。欠片には欲望を叶える力があり、欠片を取り込んだ多くの生き物が暴走して混乱を生み出します。虹の王を慕っていたエバは欠片を集める旅をしていましたが、そんな中で人間の世界から迷い込んだ主人公・歩世子(ぽよこ)と出会い、歩世子は事故で虹の王の欠片を取り込んでしまいます。彼女は両親を事故で亡くし、新しい家庭ではネグレクト同然の家庭内いじめを受けて育ってきたので感情がなく、叶えたい欲望も存在しないと言うのです。それを聞いてエバはショックを受けますが、虹の王の復活に必要なもう一つの要素である虹の王の器というものがあり、それは欲望を持たない存在にしかできない役割なので、エバは歩世子の面倒を見る裏で彼女を器にすることを企みます。一方で歩世子の方は、今まで誰にも相手にされてもらえなかったのにエバに助けてもらって大事にされて、喜びなどの暖かい感情を取り戻しつつあり……という感じです。はい、あらすじ終わり。
 長いしどっちが主人公か分からないしバッドエンド一直線みたいなストーリーだな……不気味な雰囲気やストーリー、張り巡らされた伏線やデザインも見どころで面白いです。むにきすのデザインも良い。
 ちなみに冒頭にちょっとだけ描写される人間界は大阪をモデルにしているような気がします。関西弁だし太陽の塔みたいなのが出てきます。爆発だッ


 既刊1巻。ここから単話完結型ロードムービー系作品ゾーンに入ります。(何それ?)
 魔法使いの研究をする施設から脱走した主人公の少年とお姉さんが、各地での魔法使いによるいざこざを解決しながら旅を続ける、というお話です。
 この漫画は本当にすごくて、まず研究施設にいる主人公の教育担当である白衣を着たお姉さんがいるんですけど、この人主人公のことを二人称「少年」で呼ぶキャラのくせに髪型がボブカットなんですよね。これ、ほとんどの人には「だから何?」となるポイントのような気がするんですけどこれが本当に重要で、ストーリーやキャラデザの要所要所にこういった「外し」が存在しているのがこの漫画を面白くしているポイントだと思います。
 それから、特筆すべき内容として会話内容のオシャレさもポイントですね。名作と呼ばれる洋書や洋画のようなウィットの利いた(あまり日本っぽくない)台詞回しがたくさんあって、それがすごくオシャレでかっこいいのも好きなところです。
 もちろんストーリーもいいですね。前述したように問題解決するロードムービーものなので、それぞれのお話によってできの良し悪しはあるとは思いますが、旅人である主人公一行は困っている人間に手を差し伸べることはあれど、究極的には彼らの家庭内だったり友人間だったり、彼ら自身によって物事を解決するべきという根底の思想があるように感じますし、共感できます。旅もので言う『魔女の旅々』や『キノの旅』、変わり種ですがゲーム『魔法使いと黒猫のウィズ』のイベストなんかでも見られる、大切な思想です。(もうちょっと言えば『三千世界を弔って』とか『メールブルーの旅人』とか『しゅうまつの小日向さん』とか『少女終末旅行』……はちょっと違うかな)
 いいところは非常にたくさんあるんですが、それ故に帯のアオリが少し残念に感じました。自分は電子で買ったので帯のデータはないんですが、本屋さんで帯を見た時に、『終末もの、旅もの、魔法、謎解き、おねショタ……全部あります』みたいな内容が帯に書いてあったんですよね。(細部は違うかもしれません)でもこの漫画作品のそれらの要素は複合されておりそれが唯一性のある面白さを生み出しているので、例えばミステリー要素があるからミステリー好きに勧められるかというとそうではないという、ジャンル分けをするべきではない面白さのある漫画だと思うんですよね。厄介オタクで本当に申し訳ない。ごめんなさい。
 余談ですが作者の伏見ダイキ先生、「の」から始まる某ゲーム実況者のYouTube配信にたまにいらっしゃいますよね……? なりすましってこともなさそうだし……自分も氏のファンでほとんど配信を見てるので……(本当になんなんだ)


 既刊1巻。同じく「さよなら」から始まるタイトルのロードムービー系作品ですが、当然中身は全くの別ものです。
 こっちは異世界ものというジャンルでいいと思います。キャンプ道具だけ持って異世界転移した主人公。その異世界は既に滅び始めており、かといってそれに対して主人公ができることも特にないという、終末世界ものとしてお手本のような世界観設定になっているのかなと思います。
 じゃあありきたりで面白くない作品なのかというと全くそんなことはないです。この滅び始めた世界で生きる人々の考えや生活がありありと描かれており、それが非常に印象的で面白いです。ヒロインのニトが本当にびっくりするほどめちゃくちゃ可愛いのも最高。続きが楽しみです。
(なんか噂では原作ライトノベルこのラノにノミネートされたにもかかわらず打ち切りを食らったとか……コミックの続きも出ない可能性が……そんなのってないよ……)


 既刊2巻。ジャンプ+で連載されているので比較的有名な作品……なんですよね? 2月に3巻が出ます。
 基本的に頭のおかしい殺し屋殺戮バトルものという認識でいいと思います。たぶん『忍者と極道』と同じようなノリです。忍者と極道読んでないけど。 だって上宮が毎週のようにRTするから……
 ストーリーの内容としては、後継者問題に悩んでいる毒使いの一族の中で、結婚願望のない主人公が結婚相手を探さざるを得なくなり、そんな中でたまたま出会った結婚詐欺師の男(作中では常に女装をしている)が主人公の結婚をサポートする……みたいなお話。
 そのふざけ切った描写やデザインに反して(?)、ストーリーの中身は各ヒロインの抱える問題を解決していくという、『神のみぞ知るセカイ』や『デート・ア・ライブ』のようなラブコメとしての側面のある作品となっています。コマ割りや伏線の張り方など漫画としてのレベルも高く、流石天下のジャンプさんは違うなぁ……という感じ。ふざけ切ってるけどちゃんと面白いです。でも頭おかしいと思う。


 既刊1巻。同じくジャンプ+から。
 この作品に関してはかなり話題になってた気がするのでここで特に書くこともないですかね。ただ、主人公の女子校生がある日突然角が生えてきて、母親からお前には人外の血が流れてる、と言われる、というストーリー、どう見てもまちカドまぞくやん……って思っちゃったんですよね。この前の『この本を盗む者は』と『フリップフラッパーズ』のこともあったし、僕が単純にまちカドまぞくに脳を破壊されてるだけなのかな……と思ってツイッターで検索したら結構な人が同じことを言っていました。むしろこの作品にはまちカドまぞくの桃にあたる人物が出てこないので、こっちがきららっぽくてまちカドまぞくがジャンプっぽいとまで言われていました。知らんけど。
 桃にあたる人物がいないとこの作品は何をするのという気がしますが、何というかこの作品のテーマは”多様性”みたいな感じなのかなと思います。角が生えてても学校生活をみんなと同じように過ごしていいんだよ、みたいな。でもそれって漫画として扱って面白いテーマなのかなというとちょっとよく分からない気がします。それにしても、どうしても自分の中で比較対象になってしまうまちカドまぞくがあまりにも面白すぎるのでなんか損してるなぁというか……人気の作品だから言葉を選んじゃってあんまりうまくレビューできない感じがしますね。


 既刊3巻。これ本当にめちゃくちゃ面白い!タイトルの吸血姫は“ノスフェラトゥ”と読まないことに注意です。
 吸血鬼という人外の出る東京が舞台。特殊部隊に所属する主人公は、東京から吸血鬼を殲滅するために呪術を使える“吸血鬼殺し”の異名を持つ吸血鬼・バロックの助けを借りようとする。バロックの方は主人公に一目惚れしてしまい、バトルとラブコメを並行して同時に行うことになってしまう、みたいな感じです。人外を狩るのに人外の力を借りることになる展開と言いEngage Kissをどうしても思い出してしまうけど連載開始は多分こっちの方が早かったかと思います。べつにどっちがどっちでもいいんだけど。
 とにかくバトルの描写がすごい。主人公が普通の人間にしては異常に強いし頭が切れるし、笑っちゃうぐらい強くて面白いです。それでいて心理描写もすごいし漫画的な表現も上手くてバロックの呪術攻撃もグロカッコいいです。それでいて唐突に挟まるラブコメギャグ描写によって緩急がついて読んでいて楽しいです。とにかく漫画としての完成度が高く、今年読むべき漫画の一作に名前を挙げられると思います。

 ……それはそれとして、ツイッターを見てると結構ラブコメ描写(特に主人公を前面に押し出した乙女向け漫画か?というシーン)を前面に押し出したプロモーションをしており、どうやらTikTokでも人気コンテンツになっているらしく、その辺はちょっとよく分からないかな……と思います。 新米錬金術師の店舗経営とかシャインポストとかもYouTubeショートなどによるプロモーションをしてるらしいし、そういう時代ってもう来てるんだよね。(オタクの関暁夫


 既刊1巻。タイトルの吸血姫は“ノスフェラトゥ”と読まないことに注意です。
 いわゆる勘違いものの戦記もの……になる予定です。たぶん。主人公は血を飲めないせいで出来損ないの扱いを受け、引きこもり同然の日々を過ごしていた中で、何故か七紅天という帝国軍の大将軍に任命され、逆らったら死ぬので自分が雑魚であることがバレないように軍を率いなければならなくなった……という話。
 勘違いものは嫌いじゃないと思ってたんだけど、それは(当然ながら)結構お話そのものの面白さに左右されるので……この漫画は今のところ、基本的にワンパターンで主人公が理不尽に酷い目に遭い続けるだけ……みたいな気がしなくもないです。いろいろと理不尽な部分についての説明も不十分な感じがします。なんでそもそも基本死なない吸血鬼が国を作って他国と戦争してるの? ただ小説家を目指している主人公の、窮地でのアドリブ能力は目を見張る所があり、それがお話を成立させているし面白いポイントなのかなと思います。強いハイテンションレズメイドも出てきます。このキャラについてももうちょっと掘り下げが欲しい感じがしますがこういうキャラは嫌いじゃないです。でも、うーん……
 原作ライトノベルは8巻まで出てるらしいし、アニメ化も決まったらしいです。でも、うーん……
(ちなみに引きこもりが大将をやらされる勘違い軍記ものだと『軍神ちゃんとよばないで』がめちゃくちゃに面白いのでお勧めです)


 既刊2巻。小学館裏サンデーレーベルってことはマンガワンっていうアプリで連載が読めるやつだと思います。
 タイトルにもある通り異世界転生ものですが、二人の主人公が同時に異世界に行く話でかつ二人ともが昨今の異世界ものブームに詳しいオタクなので言うなればメタ・異世界ものというべきジャンルになっていると思います。
 いきなり過酷な状況に陥って1ヶ月間現地人と交流せずひたすらサバイバルし続ける辺り、『異世界おじさん』や『ゴブリンスレイヤー』のようなハードモード異世界ものです。(ゴブスレは転生ものじゃないけど)旅に出る前に「敵対する人間を殺せるか?」という命題について意思の統一をしている辺りちゃんとしてるなぁという感じを汲み取れるかと思います。それでいて細かいところにネットスラングになったりならなかったりしているパロディが敷き詰められているのでダークだけれどライトに読みやすいのはいいところですね。
 何より主人公たち二人の気心の知れたコミカルなやり取りが見ていて楽しいです。例えば『異世界美少女受肉おじさんと』もおじさん二人が異世界転生する似たような話ですが片方がTSして恋愛要素?が絡んでくるのに対して、こっちは2人ともTSさせてやろうというのが画期的ですね。いいと思います。


 既刊2巻。次も見ての通り異世界ものです。
 タイトルに魔力チートって書いてるけど実際チートなのは魔力じゃなくて創造魔法のほうなんですよね……
 でもチートがどうとかが物語の本筋ではなくて、最初は現実味を持っていなかった主人公が、人(?)との交流を経て人らしい感性を取り戻していくと同時に、無限(に近い)と予想される自分の寿命を鑑みて安息の地を求め旅をする、というのがお話の本質だと思います。たぶん。『スライム倒して300年~』の語られざる300年に本筋を据えた作品、と言えなくないかもしれません。知らんけど。
 特にこれと言って革新的な設定を有するストーリーではないのですが、それでもちゃんと面白いのがいいですね。絵もかわいいし、主人公を含めた登場人物もかわいいです。究極的にはそれが一番大切ですからね。


 次はきららからの異世界もの。既刊1巻です。
 とはいえ、これはどうなんだろうな……えーと、異世界と地球がいつでも“再転生”によって行き来できるようになった世界で、出自の分からない異世界人主人公と地球人主人公が2つの世界を行ったり来たりする話ですね。
 記憶喪失の二人が実は勇者と魔王的なサムシングなんだよ~、みたいな、やりたいことはなんとなくわかる気がするんだけど、うーん……お話がね、今のところ特に、その……魅力に欠けるというか……結局異世界で冒険できるんだったら地球に来れる意味って何? 身の安全は確保できますよアピールなのかな……?
 知ってて買ったんですけど作者のそめちめ先生って『ヒーローさんと元女幹部さん』の人ですね。うん。そうだよね。


 既刊1巻。超能力系のミステリもの……ですかね?
 ある日突然人の考えていることが相手の顔に文字として表示されるという特殊能力に目覚めた主人公が、同じ能力者の人たちに「将来起こる異能による災害」みたいなのを防ぐ協力をしてほしい、と誘われ、とはいえそのグループの人たちも腹に一物抱えているから一概には信用できなくて……みたいな、複雑な群像バトルミステリになりそうな感じです。
 作者のかぜぱな先生はこれが初めての単行本とおっしゃっていて、確かに多少クオリティが気になる部分は感じられます。それは作画だったり、細かい状況の描写だったり、コマ割りなどの技術だったり。しかも誰を信用すればいいのか分からないという群像ミステリのようなジャンルはかなりチャレンジングなジャンルだと思いますが、とりあえずまだ1巻ではまだ何とも言えないところまでストーリーを引き延ばして終わってくれているので、続きのお話に期待できる感じでいいと思います。(マジで何様?)


 既刊2巻。悪役令嬢ものにミステリ要素を組み合わせた画期的な作品です。
 気がついたら乙女ゲームの悪役令嬢になっていた! という、もはやテンプレ化した始まりのストーリーです。(前も言ったけどこの悪役令嬢ものってどこが起源なんですかね。)
 このストーリーの元となったゲームでは祖父の遺産を受け取るための鍵となる「箱」を探すことが主な目的となるらしく、かつトゥルーエンド以外では箱を見つけた時点でゲームが終了し、その中身について語られることはないとのこと。主人公はトゥルー以外のストーリーをクリアしているものの、トゥルールートに入るためには全てのスチルを回収する必要があるため難航していたとのこと。
 悪役令嬢になってしまった主人公の視点から物語を観ていくと、(ゲームとして設定されていた)主人公の方がまるで悪役のように見えてくる、という視点の転換が見事にハマって面白いです。ゲーム内ではある種のお約束という扱いで深く触れられなかった設定について踏み込んでいくことで謎解きを行っていくというのが斬新なポイントで、遺産の相続や家が財を成すために使っていた「妖精との契約」の存在、及びその鍵となる「純粋な血縁関係」などについて、現実と化した世界で非常に重要な意味を持ってくるというのが面白いところです。ゲームだから、と軽視されがちな貴族世界を緻密に描いた、悪役令嬢ものの中でもかなり異色な作品になっていると思います。それをキャッチーにする主人公のハイテンションオタクキャラっぷりがストーリーにメリハリをつけてダレないようにしてくれているのもいいですね。(むしろ最初の方は主人公のテンションについて行けないかと思いました)
 物語の大きな謎を解き明かすことがお話の核になるはずで、それがまだ解き明かされていない以上真の意味での評価は難しい作品ではありますが、それでも現時点で「こういうことをやりたい」という方針が明確に示されており、そこで取り組もうとしていることは間違いなく評価に値する面白さのある作品だと思います。一体どういった結末になるのか、楽しみです。


 これは……悪役令嬢もの……? 既刊1巻です。
 主人公は前世の記憶をうっすらと持っている軍人の少女が主人公。この主人公はめちゃくちゃに強く、それでいて職業意識も非常に高い軍人なのですが、この人が皇立魔法学園に潜入任務ということで入学するところから物語が始まります。ここまでタイトルに書いてある通りですね。
 これ、どうあがいても多少のネタバレは覚悟しなければあらすじが書けないので書きますけど……学校で出会ったお嬢様の一人が主人公と同様の転生者で、しかも主人公よりも前世の記憶をはっきりと持っていて、さらにこの世界が乙女ゲームの世界であることに気がついていて、その上に自分がゲーム内における悪役令嬢であることにも気がついているんですよね。お、おう……
 主人公は頑張って同郷の彼女と協力し、破滅エンドを迎えないように立ち回る約束をする、というお話です。なんかあんまり破滅しそうに見えないんだけど、そういう危機的な状況に陥るのは2巻からでしょうか。とにかく設定がやや複雑なので1巻はその説明に使ったっていう感じですかね。とにかく強い主人公の描写も見どころのひとつです。


 既刊2巻。三角関係ラブコメ……ですかね? 女子中学生(主人公・170cm)と、その父親(40代)と、その同僚で再婚相手候補(28歳・149cm)の三角関係です。ついてこい。
 年齢差と身長差を逆転させるのはアニメ化した『リコーダーとランドセル』を彷彿とさせますが、こっちはコメディよりもシリアスな展開の方が多いです。もはや身長差がどうこうとか言ってられないくらいちゃんとした人間関係をやっている作品で、それ故に読んでてだんだん辛くなってくる作品でもあります。誰も悪くないのにどうして……ブコメって基本そういうものでは? だからラブコメって苦手なんですよ
 それでもみんなが幸せになれるように、既存の家族の形式に当てはまらない新たな関係性を模索する、という落としどころで2巻が終わります。全員幸せになってくれ……


 既刊1巻。
 そういえば買ったなぁ……正統派ラブコメという感じの作品で、つまり僕の好みではないというか……絵柄はかわいいんだけど絵柄だけで漫画買うのやめようって毎回言ってる気がするんだけど……


 既刊1巻。
 脱ヤンして清楚に生きることを決めて高校デビューした主人公のすずめがひょんなことからダウナー系サボり魔の蛍に昔のことがバレてしまい、それをネタにいじられる、みたいな話。比較的ゆるふわコメディです。
 まぁこれもゆるふわ日常コメディと言っていいんじゃないですかね。普通に面白いと思います。(あんまり書くことがない)


 既刊1巻。これ本当に面白い!ベストオブ2022漫画のひとつです。
 主人公のみさきが海で釣りあげたマグロが何故か女の子に変化した、というお話です。人間に一本釣りされた場合はその人に血肉を捧げなさいというマグロの掟に従って、みさきに何とか食べられようとするまぐろ(仮名)のストーリー。タイトル通りだな!
 当然ながら人間の姿をしている、人語を解する生き物を解体して食するわけにもいかないのでとりあえずみさきと生活を共にすることにしたまぐろが、人間とマグロの生活の違いに困惑しながら我が道を行くのは見ていて面白いです。他にもカジキマグロのきーちゃんや雑草を食べる学級委員長など、ちょっと個性の強すぎる登場人物がたくさん登場します。それでも収拾をつけて面白日常漫画として成立しているのがすごい。倫理観ギリギリ(アウト)のギャグ描写と、意外といい感じの人間関係描写を練りこんでくることによって読んでる人間をぐちゃぐちゃにしてくる最高の漫画です。ちょっと未来に生きすぎてるからアニメ化して広く受け入れられる作品かと言われるとよく分からないけど、でも本当にすごいので一回チラ見してほしいです。頼む。


 既刊1巻。ブラック企業社内マッサージ漫画です。(?)
 作者のミナミト先生と言えば沖縄県を舞台にした『海色マーチ』という漫画があって、僕はあれがすごい好きだったしキャラのハマり具合的にもあれを越えられるのはなかなか描くのは難しいんじゃないかな?と考えてました。(何様?)でもこの作品はかなり別ベクトルの面白さがあるので、これはこれでという感じですね。
 主人公の川口が会社の先輩である癒衣さんにマッサージを教えてもらうというストーリーで、まぁその……身体接触を含む描写が多いので、作中でも多方面から様々な誤解を受けたりするんですね。それだけだとまだいいんですけど、実際には誤解と思わせて誤解じゃなかったりするような、悪い百合厨のアンジャッシュがミナミト先生に取り憑いて生まれた漫画なのでは?という感じがします。マジで。この漫画は一人でも冷静な人間がツッコミ役として存在してくれれば一瞬で解決するようなお話を、全員が暴走することによって成立させている、奇跡のようなバランス感覚によって成り立っている漫画だと思います。でもちょっとアレなので積極的に人にお勧めしたいかと言われると……うーん……


 既刊1巻。
 見覚えがある人もいるかもしれません。この漫画はオモコロライターの橋本ライドン先生による漫画で、これを基にしたストーリーの漫画になっています。さすがにオモコロ版は単話完結なので細かいところが違うんですけどね。
 基本的にはあの感じの温度感での日常コメディという感じではありますが、時折挟まるシリアスパートがすごい良いですね。というかひまわり×マハラ回(12話)のラストが本当に最高。ここだけでも全然買って読む価値があります。もちろん他の部分も読む価値があるので、つまり買えば黒字になるということですね。実は漫画って買うと基本的に黒字になるんですよね。というかあれだけ1冊分描くのが大変な漫画が本屋さんに行けば1時間のバイト代くらいで1冊買えるの異常すぎると毎回思う……論点がずれました。
 とにかく悪魔と人間のゆるふわ同居コメディという点で普通に面白く、そんな中で急にどっしりストーリーが展開してくるのでかなり印象的な作品になっていると思います。2巻以降どういう感じの展開になるのかはわかりませんが、続きも楽しみですね。



新刊紹介終わり!ここからは続巻が出た作品です。詳しくは以前のブログで紹介したはずなのでよろしくね。
この本を盗む者は
花は咲く、修羅の如く
☆いろどり高校合唱部より
だぶるぶる
★星使いセレナ
★サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠し事
★クズ浪人生、人生が辛いので夜のお姉さんを呼んでみた
★殺し屋やめたい!
鍋に弾丸を受けながら
★転生大聖女の異世界のんびり紀行
☆つりこまち
茨城ごじゃっぺカルテット
ぼっち・ざ・ろっく!
☆紡ぐ乙女と大正の月
☆しあわせ鳥見んぐ
☆酒と鬼(おんな)は二合まで
★きららファンタジア
笑顔の絶えない職場です。
転生したら剣でした Another Wish
★ムシ・コミュニケーター
☆となりのフィギュア原型師
☆瑠璃の宝石
クプルムの花嫁
無能なナナ
☆切れぬ牌などあんまりない!
★主人公じゃない!
骨ドラゴンのマナ娘
★ダンジョンの中の人

多いな…… ☆が超おすすめ、★がおすすめ、無印もおすすめです。
特に瑠璃の宝石は3巻で新キャラが出てきて面白さの幅が広がった感じがしますし、紡ぐ乙女は3巻のここにきてこういう展開になるんだ!という新鮮な驚きがあります。フィギュア原型師もえにぐまちゃん周りのストーリーが本当に素晴らしく、他にもたくさんあるんですがちょっと長くなるのでこの辺りにしておきます。

それから、以下の作品が完結しました。
厄災の申し子と聖女の迷宮
★たびみまん
はなまるスキップ
オールド・ルーキー
☆ひかるイン・ザ・ライト!
マルジナルテイラ
六畳一間の魔女ライフ
丸の内で就職したら、幽霊物件担当でした。
六条さんのアトリビュート
マグロ少女
むすんで、つないで。
☆そのへんのアクタ

多いな…… 多いよ~~~もう終わっていい? 終わります。
本当は12月中に書くはずだったのにもう1月中旬になってしまいました。マジ? 2023年も面白漫画がたくさん出る予定なので楽しみですね。以上です。