※このブログは数Bの範囲までしか取り扱っていません。
中3に数学を教えてたんですが、こんな問題が出てきました。
全辺1㎝の正三角形ABCがあり、点Pは頂点A上にある。硬貨を投げ、表なら時計回りに1㎝、裏なら反時計回りに1㎝点Pが移動する。3回硬貨を投げたとき、点Pが頂点B上にある確率を求めよ。
樹形図を描くだけの問題です。答えは3/8。分母は必ず2^nになるので、頂点ABC上になる確率がぴったり1/3ずつになることはありませんよね。でもこの問題、実は無限回試行をすれば1/3ずつになります。これは感覚的に分かったことなんですが、じゃあ証明しようとなると大変でした。やる気のある人はスクロールする前に、紙とペンを持ってきて考えてみてください。
とりあえず、n→∞でP(A)→1/3になることを示せばいいです。P(A)の分母は明らかに2^nなので、分子さえわかればいいことになります。分子はn回試行でAにくる場合の数、これをn(A)とします。これは表と裏が同じ回数出る場合、または表か裏が3回出てもいいですね。表の回数をO、裏の回数をUとするとO-Uが3の倍数になればいいです。僕はここで躓きました。整数kを使ってO-U=3kとしてもここからどうしたらいいかわかりません。なので別のアプローチを考えました。
Excelのスクショとかいうゴリ押しをしてしまった……
ここから規則性を見いだします。n(B+C)=n(U)-n(A)ですね。そしてn(A)=n-1(B+C)です。これはA上からPはA上に移動できず、B上、C上にあるとき、そのパターンの数だけAに移動するパターンがあるということからもわかります。でもこれ発見したのすごくない?これを数列のルールに従い、連立して代入し、項をずらして書くとこのようになります。
(B+C)n+1=2^(n+1)-(B+C)n ただし、(B+C)1=2
ここからは普通の漸化式の処理なので省略してもいいんですが……
両辺を2^(n+1)で割ります。
(B+C)n+1/2^(n+1)=1-(B+C)n/(2^n*2)
ここで、(B+C)n/2^n=Dnとします。
Dn+1=1-Dn/2 ただし、D1=1
Dn+1=Dn=Xとします。X=1-X/2よりX=2/3
特性方程式です。Dn+1-2/3=-(Dn-2/3)/2
ここで、Dn-2/3=Enとします。
En+1=En/2 ただし、E1=1/3
したがってEn=1/3*(-2)^(n-1)
Dn=1/3*(-2)^(n-1)+2/3
(B+C)n={1/3*(-2)^(n-1)+2/3}*2^n=2^n/3*(-2)^(n-1)+2^(n+1)/3
これでようやくP(B+C)が求まります。これが2/3になればOKです。
P(B+C)={2^n/3*(-2)^(n-1)+2^(n+1)/3}/2^n
=1/3*(-2)^n+2/3
n→∞でP(B+C)→2/3
漸化式が役に立ったの久しぶりでしたし、久しぶりに数学って楽しいなって思いました。オチはありません。
(追記)符号ミスってたのを修正しました。
(さらに追記)グラフで確率の変化を示すと分かりやすいですかね。
(さらにさらに追記)友人が別解を用意してくれました。
確率を直接数列扱いにして漸化式を作っています。こっちの方が賢いな……